文明の十字路 トルコ紀行

洞窟レストラン

 昼食は岩山を掘り抜いた洞窟レストランであった。レストランに向かう途中に洞窟ホテルがあった。カッパドキアの妖精の煙突に近いウルギュップと云う街には星なしから四星まで洞窟ホテルが十数軒あるそうである。

 これらのホテルは人が住まなくなった数軒の洞窟住居を改造して造られている。ホテルの中は通常のホテルと変わらないそうであるが窓の無い部屋も有り、ホテルの中は迷路のように入り組んでいるとの事。カッパドキアではこれらの洞窟ホテルに人気が有り、わざわざ洞窟ホテル宿泊をうたったツアーも有るそうである。確かに好奇心も有りどの様なホテルなのか一度泊まってみたい気分で眺めた。

 訪れた洞窟レストランの入り口は背を屈める程ではなかったが低くて狭い入口であった。外は日差しが明るかったが一歩中に入ると薄暗く、眼が慣れてレストランの中を見渡すと洞窟とは思えないほど広々とした空間であった。

 壁も天井も柱も床もき出しの岩肌であった。天井の高さは三メートル程有り全く圧迫感は感じなかった。店内の中央に岩をくりぬいた大きな暖炉があった。暖炉の煙突も岩をくりぬいて作られているのであろう。

 洞窟の中は窓が無いのが難点でもあるが岩の中に入っていると思うと何と無く落ち着いた安らぎを感じさせる空間でもある。

 レストランの中は淡い照明が施され壁際に立てられたローソクが明かりを補っていた。外は雪が積もっているが洞窟の中は大き目の石油ストーブ一基で十分に暖かかった。

 案内された席は団体客用なのか木で作られた長いテーブルであったが、壁に沿った四人用のテーブルは全て石造りであった。

 昼食には有名なカッパドキア・ワインを味わって見たいと思いベルマさんにお願いしてウエイターに聞いて貰うとグラスワインは無く、ボトル単位だとの事。昼間からそんなに飲めないので両隣のツアー仲間に聞いて見たが飲まないとの事、諦めてビールを注文した。食事はスープと前菜、バターライス、それにこの地方の名物料理である鱒の塩焼きであった。

 食事を終え、トイレの場所を尋ねると外に出て右手に有ると教えられてトイレに向かった。トイレに向かう途中に倉庫用の洞窟が有りその先にトイレ用の洞窟があった。トイレの横の坂を下ると別棟?の洞窟レストランがあり、このレストランには建屋が一棟も無いことに気付いた。

 ウルギュップにはこの様な洞窟レストランがいくつか有るそうである。


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