文明の十字路 トルコ紀行
デニズリ
エーゲ海のリゾート地、クシャダスの街で昼食を終えてバスはパムッカレに向かった。ガイドは日暮れが早いので遅くとも16時までに着きたいと説明していたが地図を見るとクシャダスからパムッカレまでおよそ200キロもある。
バスは潅木しか茂っていない山中に入り、緩やかな登りが続いた。トルコは海岸線部分を除いて国土の大部分が標高1000メートル以上の山地と高原である。
そしてこの広大な高原が農地となっている。パムッカレに向かう高原の農地はトルコでも有数の綿花の産地である。
バスの車窓から眺める風景も冬枯れの綿花畑がどこまでも続いていた。遥か遠くにかすんで見える山の麓まで多分、綿花畑が続いているのであろう。畑のところどころに摘み残した白い綿の花が野に咲く花のように点々と残っていた。
デニズリの街に近付くと繊維工場が軒を連ねていた。出退勤の時間に遭遇すると国道は繊維工場で働く労働者を送迎するバスで渋滞となるそうである。
この街でイタリアをはじめとするEUやアメリカの有名ブランドの製品が作られ世界に輸出されている。この辺り一帯の工場を回れば世界の有名ブランドの製品が安く手に入るとの事。我々が日本で眼にする有名ブランド品もひょっとするとトルコ製かも知れない。
デニズリはトルコ有数の繊維産業の盛んな土地で、一時の日本と同じようにトルコ経済を支える一翼を担っている。