文明の十字路 トルコ紀行

パムッカレ

パムッカレ 文明の十字路トルコ紀行  有名な石灰棚が有るパムッカレはデニズリの街からおよそ20キロ、パムッカレとは「綿(パム)の城(カレ)」との事。確かに石灰棚はおよそ500~600メートルほどの幅が有り、高さは100メートルほどあった。一面に白い綿の花が咲く頃、石灰棚を遠くから見れば長大な白い城壁のように見えるのであろう。

 パムッカレは石灰成分を多く含む摂氏35度の温泉水が地表に湧き出して山肌を流れ落ち、流れて来た植物片に石灰分が沈着して長い時間をかけてしだいに堤の様に成長して石灰棚を作り、堤を溢れ出た温泉水が同じように又、次の石灰棚を作る。こうして100以上もの石灰棚が自然に形作られ、白い棚田の様な景観を作り出している。

 しかし、この自然が作り出した造形も付近に建ち並ぶ温泉宿の乱開発で温泉が涸れ始め石灰棚に流す湯量も調整されている。

 バスは並木道を抜けパムッカレの裾野に至った。見上げるほどの高さの白い壁が迫っていた。バスは白い壁を迂回して山肌を登り、パムッカレに到着したのは日没のわずか前で遠くの雪山が日に照らされて赤く輝いていた頃であった。

 もう少し早ければブルーの水と白く輝く石灰棚の写真が撮れたのにと思いつつガイドの後に付いて石灰棚に向かった。

 そこは石灰棚に入る入り口であった。石灰棚の上を流れる水は温泉で自然保護の観点から石灰棚に入る場所は限られていた。ガイドが案内したのはその入り口であった。

 近年、ホテルが温泉の湯を引き込み石灰棚に流れ込む湯量が少なくなり限られた場所しか立ち入りを許可していない。深さ30センチほどのプールに手を差し入れてみると、まさに生温い温泉であった。

 そこから左の方角を見ると展望台が有り、そこからならパムッカレの石灰棚が一望出来ると思い、急いでそこに向かった。展望台は300メートルほど先に有り急ぎ足で歩いた。途中に勢い良く石灰棚に流れ込む水が湯気を立てているので手を差し込むとまさにぬるめの温泉であった。

 展望台に着いて急いで写真を撮ったが日が沈み辺りは薄暗くなり、本来ならブルーに染まる石灰棚の水も日の光が弱く淡いブルーであった。

 もう30分早ければ石灰棚の棚田を流れる温泉で足浴し、青く輝く石灰棚を写真に収められたのにと思いつつ残光に光る石灰棚を眺めた。


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