文明の十字路 トルコ紀行
割礼
トルコはイスラム教国であり、今も田舎では割礼の儀式が残っている。(割礼とは男児の生殖器前部の皮を切り取る事)
ローマ人やギリシャ人は野蛮な風習として忌み嫌ったがユダヤ教、イスラム教には割礼の儀式が残っている。(旧約聖書並びにコーランには書かれていないそうだが宗教的通過儀礼として割礼の儀式がある。)
トルコでは2歳から14歳の間(ユダヤ教では生後8日目)に割礼の儀式が有る。およそ、2ヶ月前に割礼の日取りを決め、親戚、友人、ご近所の方々に招待状を送付する。
割礼は男児にとって正式なイスラム教徒になる重要な儀式であり、割礼の当日、男児は着飾って馬車か馬に乗り笛や太鼓の音楽が奏でられ近所を練り歩く。
そして、男児はキルベの膝に乗り割礼が行なわれる。キルベとはキリスト教の洗礼名の名付け親ゴッドファーザーに当たり生涯に亘り男児の後見人となる。割礼が終わると男児を祝福する盛大な宴会が催される。
トルコの田舎の宴会は男女別々に行なわれる。もちろんイスラムの世界なので田舎では酒は無く、談笑してチャイとご馳走を食べ、それに皆で歌い踊るのが宴会だそうである。女性の宴会ではベリーダンスを披露するとの事。もちろん男子禁制。
割礼を終えた男子に次に待っているのが兵役である。トルコでは徴兵制を敷いており18歳から40歳までの間に成年男子の義務として病気等の特別な事情が無い限り全員が15ヶ月の兵役を終えなければならない。
もし日本に強制的な兵役が有れば出来る事なら忌避したいと考えるのが一般的と思うが、トルコではそうではなく兵役に行くのは喜ばしい事と考えられている。特に田舎では病気等の理由で兵役に就けない事を悔やむそうである。
国を守る為の兵役はトルコ男子たる者の当然の義務と考えられている。それ故、息子が兵役に就く事は父母にとっても名誉な事で有り、喜ばしい事でも有るので盛大な宴会を催して息子を送り出すそうである。
任地に向かう当日はオトガル(長距離バスのターミナル)に親類や友人、知人が大勢見送りに駆けつけバスの出発までラジカセをガンガン鳴らし、皆で輪になって踊り兵役に向かう若者を祝福するそうである。
トルコでは小学生の頃から国の成り立ちを詳しく教え、祖国に対する愛国心を育んでいる。それ故、現代の日本では考えられないが国を守る為の兵役は男子の義務で有り、名誉な事として捉えられている。