文明の十字路 トルコ紀行
ウチヒサール
鳩の谷と呼ばれる小さな村、ウチヒサールはごつごつとした岩山を中心とした小さな村であった。村のシンボルの様に聳え立つ大きな岩山はヒッタイトの時代から岩を掘り抜き要塞として使われてきた。バスで近付くと要塞のテッペンにトルコ国旗がはためいていた。
鳩の谷は台地を切り裂いたような深い渓谷であった。その渓谷の崖や村の周辺の岩山には無数の横穴が開けられている。この穴は18世紀から20世紀初にかけて鳩の巣として掘られた横穴である。
この辺りは葡萄の産地で鳩の糞を肥料にするために、村人達は鳩を飼い、岩山の横穴を鳩の巣として利用した。そして、鳩の糞を採取するために岩山や渓谷の崖にトンネルがあるとの事。
これだけ多数の巣穴が有れば一体どれほどの数の鳩がいたのであろうか。しかし、この日は皮肉にも一羽の鳩も見なかった。