皇位争乱

あとがき

 この小説は古事記、日本書紀に記されている皇位継承にまつわる数々の争乱を題材にしており、皇位も万世一系ではなく神武、崇神、応神、継体と王朝は変遷したと思っておりますが記紀では巧妙に隠している。

 年代については独自の解釈で変更しております。


 日本書紀に記されている年代は天皇の即位年等々を全て干支で記されております。干支は十干十二支の組み合わせで六十年周期となります。神武天皇の即位年月日辛酉かのととりの年を西暦に換算すると紀元前六六〇年、六〇〇年、五四〇年・・・・紀元前六〇年、西暦元年、西暦六一年、西暦一二一年・・・が該当します。辛酉かのととりの年を西暦に換算して何年にするかで歴代天皇の即位年が大きく異なります。

 明治政府は日本書紀に記されている神武天皇の即位年月日「辛酉かのととり年春正月」を日本の紀元とし即位日を紀元節と定めて祝日としました。そして、西暦で紀元を定めるに際し、日本書紀に記されている歴代天皇の即位年(干支)と在位年数を元に逆算して神武天皇の即位年を紀元前六六〇年とし春正月は旧暦の一月一日なので新暦(太陽暦)の二月十一日としました。

 しかし、日本書紀に拠ると初代神武天皇から十六代仁徳天皇まで百歳を超える長命の天皇が十三人、在位期間が五十年を超える天皇が十二人も存在します。そして、事績の記述のない天皇、二代綏靖、三代安寧、四代懿徳、五代考昭、六代考安、七代考霊、八代考元、九代開化と八人も存在し欠史八代と称されている。

 神武天皇の即位年が紀元前六六〇年と考えるのはどう見てもおかしい、紀元前六六〇年の日本は考古学では縄文時代、中国は春秋時代、ヨーロッパは古代ローマの時代である。日本書紀は養老四年(七二〇年)に編者の舎人親王とねりしんのうが奏上したとされておりこの頃すでに中国の三史「史記」「漢書」「後漢書」は日本に伝来しており、編者は中国の歴史書を意識して時代を遡ったのであろうか。

 織田信長が好んで詠い舞った幸若舞こうわかまい(能や歌舞伎の原型)の「敦盛」の一節に「人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり・・・」とあり古代はもっと寿命は短かったと思われます。従って、筆者の独断と偏見によって修正し下記の表を作成し本書ではこの年代を使用しております。


天皇名

本書の推定即位年と在位期間

日本書紀の即位年と在位期間

生誕年

即位
年齢

即位年月日

在位
期間

崩御
年齢

生誕年

即位
年齢

即位年月日

在位
期間

崩御
年齢

01神武

29

32

61年01月01日

25

56

前711

48

前660年01月01日

79

127

02綏靖

68

22

90年01月08日

24

45

前631

51

前581年01月08日

33

84

03安寧

85

28

113年07月03日

17

44

前576

29

前548年07月03日

38

67

04懿徳

104

26

130年02月04日

27

52

前552

42

前510年02月04日

35

77

05考昭

124

33

157年01月09日

14

46

前505

31

前475年01月09日

83

114

06考安

144

27

171年01月27日

24

50

前426

35

前392年01月27日

102

137

07考霊

164

30

194年01月12日

17

46

前341

52

前290年01月12日

76

128

08考元

185

26

211年01月14日

23

48

前272

59

前214年01月14日

57

116

09開化

205

28

233年11月12日

15

42

前207

51

前157年11月12日

60

111

10崇神

217

31

248年01月13日

33

63

前147

51

前97年01月13日

68

119

11垂仁

250

31

281年01月02日

28

58

前68

40

前29年01月02日

99

139

12景行

282

27

309年07月11日

18

44

前12

87

71年07月11日

60

147

13成務

304

23

327年01月05日

11

33

85

47

131年01月05日

60

107

14仲哀

304

34

338年01月11日

9

42

149

44

192年01月11日

9

53

15神功

324

23

346年02月05日

36

57

171

31

200年02月06日

69

100

15応神

347

35

382年01月01日

13

47

201

70

270年01月01日

41

111

16仁徳

370

27

397年01月03日

31

57

257

56

313年01月03日

87

143

17履中

398

30

428年02月01日

5

34

337

64

400年02月01日

6

70

18反正

399

34

433年01月02日

5

38

337

69

406年01月02日

6

75

19弁恭

401

37

438年12月00日

17

53

377

36

412年12月00日

42

78

20安康

402

53

454年12月14日

3

56

402

53

454年12月14日

3

56

21雄略

419

39

457年11月13日

23

62

419

39

457年11月13日

23

62

22清寧

445

36

480年01月15日

5

41

445

36

480年01月15日

5

41

23顕宗

451

35

485年01月01日

3

35

451

35

485年01月01日

3

38

24仁賢

450

39

488年01月05日

11

47

450

39

488年01月05日

11

50

25武烈

490

10

499年12月00日

8

18

490

10

499年12月00日

8

18

26継体

450

57

507年02月04日

24

82

450

57

507年02月04日

24

82

27安閑

466

66

532年02月07日

4

70

466

66

532年02月07日

4

70

28宣化

467

69

536年12月00日

4

73

467

69

536年12月00日

4

73

29欽明

509

30

540年12月05日

32

62

509

30

540年12月05日

32

62

30敏達

538

34

572年04月03日

14

47

>538

34

572年04月03日

14

47

31用明

43

586年09月05日

2

43

586年09月05日

2

32崇峻

553

34

588年08月02日

5

39

553

34

588年08月02日

5

39

33推古

553

39

593年12月08日

36

74

553

38

593年12月08日

36

74

34舒明

593

36

629年01月04日

13

48

593

35

629年01月04日

13

48

35皇極

594

48

642年01月15日

3

594

48

642年01月15日

3

36孝徳

596

49

645年07月12日

9

58

596

49

645年07月12日

9

58

37斉明

594

61

655年02月14日

6

68

594

61

655年02月14日

6

68

38天智

626

42

668年02月20日

4

46

626

42

668年02月20日

4

46

39弘文

648

24

672年01月09日

1

24

648

24

672年01月09日

1

24

40天武

673年03月20日

13

673年03月20日

13


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